世界中にあるクラレの拠点。このほかホームオフィスもあり、それぞれに売上計画を立てている。その大量のデータを集計しレポート作成することが、Excelシステムに課せられた目的。
セルネッツに依頼した仕事の概要を教えてください。
私がセルネッツに依頼した仕事は、売上計画のデータの集計とレポート作成を行うExcelシステムの構築です。社内では「ARCAS(アルカス)※」と名称がつけられるほど浸透し、今では業務効率のためになくてはならないシステムとなりました。クラレグループの拠点は、日本をヘッドクォーターに、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界中にあり、なかにはホームオフィスで働いている人もいます。数えきれないほどたくさんの拠点に、それぞれの「売上計画」と「売上実績」があります。それらの大量のデータを集計し、レポート作成するルーチンワークに時間がかかっており、業務効率化を考えていました。
作業の内容は時間がかかる割には単純作業の繰り返しでしたから、マンパワーに頼るのではなく、ツールを使って時間短縮化をしていきたいと思い、できるだけシンプルにシステムを作れる会社を探していたんです。
※Automatic RDF(売上計画)Consolidation & Analysis System の略:
クラレに勤めるオランダ人スタッフがつけた名称。売上計画を自動的に集約して分析するという意味が込められている。
「15 社のシステム開発会社と面談してシステムの提案を受けました。そのなかでセルネッツは、解決策の内容から問題点を理解されているのがわかりました」
セルネッツに依頼した経緯をお聞かせください。
システム開発を探す際、はじめは会社を斡旋する一括見積もりサイトから募集をかけました。15社と面談をして私たちの要望をお伝えしたのですが、多くの開発会社から望んでいるスペック以上のご提案があり、なかにはメンテナンス費用などで毎月の固定費が発生することも・・・。コスト高とシステム内容が腑に落ちないでいたところ、セルネッツのホームページを見つけてもう一度仕切り直すことにしたのです。セルネッツのホームページには、開発費用や開発期間の目安が書かれていました。実際にお会いしてみると、担当の竹本さんには、すぐにこちらの意図している事が伝わり、Excel集計ツール簡易版という位置づけにて解決策を提案いただき、その内容からも問題点を理解されていることがわかりました。 他の会社では150万円~300万円と言われていた開発費は、セルネッツでしたら60万円だということもわかりました。
「お手間をかけて申し訳ないと思いながらも、使いながら変更したい仕様は何回も変更をしていただき、随分と無理を聞いてくださったと思います。ありがとうございました。」
どのような流れで開発を進めていきましたか?
今回のExcelシステム開発は、段階的にバージョンアップするかたちでシステムを実装する流れをとりました。1回目のリリースに対して開発期間は約2カ月。電話をしたり、Web会議でパソコン画面を共有したりしながら、私が普段エクセルで行っている作業ご説明や、業務を理解していただくところからスタートしました。Excelシステムを実装していただいてからはテスト期間があり、使いながら気が付いたことはすぐにセルネッツの担当者・竹本さんに相談させていただきました。お手間をかけて申し訳ないと思いながらも、細かな仕様は何回も変更をしていただき、随分と無理を聞いてくださったと思います。
何度も何度も修正を繰り返したのですが、快く対応してくださったので、私も本当に助かったんですよ。トライアンドエラーを繰り返しながら最終的に半年くらいで仕上げていただきました。
表記のゆれを統一する仕組みはシンプルで、Excel シートに変換前後の値を指定するだけ。導入後コストを極力発生させないセルネッツ流。
ドルから円、円からドルへの変換など、複数の為替レート混在でも、一覧表が作成できる
Excel 一覧表データを元に作成される折れ線グラフ(*数値はイメージ)
Excelシステムを導入してからの成果を教えてください。
成果1 レポート作成にかかる工数が大幅削減
先ほど私がお話したレポート作成は、1~2 日の工数がかかっていた業務になります。その作業がほぼ半日で終わるようになり、作業効率がぐんと上がっていきました。成果2 商品名など、名詞の表記が整った
各国から寄せられる大量のデータは、フォーマットが整っていないことも多くて、例えば商品の名前にも拠点ごとに「表記のゆれ」がありました。それが集計作業の邪魔をしていたのですが、Excel システムには表記を統一する機能も実装。表記統一の手間が大きく省かれました。成果3 さまざまな切り口の集計がボタン一つで実現
クラレの売上計画を出すために、いろいろな切り口でグラフを作成するのですが、前は「こんなレポートを出せない?」という急な依頼がくると、随分時間がかかっていましたし、どうやって集計しようかとすぐに返答できないことも少なくありませんでした。今は、すべての情報がExcel システムに集約されているので、急な依頼にもすぐに対応することができます。ドルから円への計算も、為替を入れることですぐにできるので、為替の変化によるレポート作成もすぐにできるようになりました。成果4 「考える時間」ができた
各国のマネージャーが作る売上計画表があったのですが、その作成もExcel システムを使えばボタン一つでできます。作業していた時間を「考える時間」にすることで、レポートの結果に対して「なぜこの結果になったのか」「今後の計画はどう立てていくか」をじっくりと考えることができます。今後、売上計画の予測の精度も高まることが期待できます。バージョンアップの打ち合わせをするセルネッツ・竹本氏(写真左)と竹下氏。
セルネッツのどのような点を評価しますか?
①問題点を理解する力がある
もしかしたら、他社の見積もりが高かった理由として、私が問題点をうまく伝えられなかったことも理 由にあるのかもしれません。ですが、セルネッツの竹本さんは私の要求をすべて理解した上で優先順位をつけ、シンプルなシステム を作る提案をしてくださいました。まずは一番課題に感じている部分を解決してから徐々にバージョン アップしていく工程は、竹本さんからのご提案です。課題をしっかり理解して、必要な機能を正確に判断していただけたのは竹本さんだったからだと感じています。
②修正対応が迅速スピーディー
対応がとてもスムーズで、かつスピーディーでした。Excel システムの修正や質問に対する回答など、 基本的にすべての対応が早くて驚きました。私がメールで修正依頼を出すと、10 分後にはその修正ができ上がってくることも頻繁にありました。他の会社は、窓口になる方とシステム構築する方が別の担当者だと思うんです。でもセルネッツの場合は、同じ方に担当していただけるので、基本的にすべての対応が早かったです。
③ずば抜けたコストパフォーマンス
それからコストパフォーマンスはずば抜けていると思いますよ。提案内容は各社とも若干違いましたが、 他社の2分の1 から3 分の1 のコストでシステム構築が実現しましたから。「これからもクラレの業務効率化にお力添えください」
クラレの今後の展望をお聞かせください。
理想を話すと、当社のシステムの最終目標は、ExcelシステムからWebブラウザシステムへ移行することです。海外拠点のPC環境では、国により言語が違うので、既存のExcelツールでは正常動作しないため、次の段階では、Webシステム構築が必要になってくるでしょう。各拠点で作業ができるようになれば、レポート作成に関する作業時間はもっと削減できますし、大幅なコストカットが見込めます。今回作っていただいたExcelシステムは、Webブラウザのシステムを作る上での大きなヒントになりました。また、近い将来、Webブラウザのシステムが完成してもグラフ作成機能などは便利に使っていきたいです。
現在、クラレのほかの部署からもExcelシステムを使ってみたいという声が届いています。ぜひ、クラレの作業効率化に向けて、これからもお力添えください。今後ともご協力をお願いします。
取材日時:2018年 2月 取材・執筆:はぐくむ 高橋かずえ
※ 文中に記載されている数値など情報は、いずれも取材時点のものです。
※ 文中に記載されている数値など情報は、いずれも取材時点のものです。
実績概要
システム名 | 売上計画データ集計ツール |
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内容 | 売上データの集計と、これからの事業予測を行うためのレポート作成を行う |
特徴 | 世界各国の拠点から寄せられる集計データは膨大な件数に上るが、その膨大なデータを自動的 に集計してグラフ化する機能を開発。表記統一機能や、複数の為替レート換算機能も実装した。 |
目的 | 業務のスピードアップ、ルーチンワークの業務効率化のため |
構築期間 | 約6ヵ月 |
開発費用 | 「2段階フェーズ開発」約70万円 |