Excelシステムにおいて、大切な納品前ブック点検とは?
システム開発は建設業と工程が似ています。ご要望通りに正常動作するシステムを納めればそれで良いか?
もちろん正常動作は大前提ですが、それに加え、納品したシステム動作に影響を与えかねない要因除去も大切な工程となります。
Excelシステム開発において、納品前のブック点検はとても重要な意味を持ちます。それは、お客様も気づかぬデータ残骸をはじめ、さらには、図形Object残骸、そして非表示シートをはじめプロパティ情報など、これらは細部点検を行う事で把握することができます。
システムを安心して長い期間ご利用いただくため、セルネッツでは、「Excelシステム納品前ブック点検」と題し、基本的なことではありますが、チェックリストを用意し、質の高い製品を納めるよう取り組んでいます。
本コラムでは、その重要チェックポイント7項目について、ご紹介させていただく為、まさにExcelシステム開発の現場においては必見です。
01:データ接続が無効にされました[データ]>[リンクの編集]
Excelブックを起動時にこのようなセキュリティの警告メッセージに遭遇したことはありませんか。
この警告メッセージは、既にリンク先のブックの場所が変わった、または削除された、などで、リンクが外れた状態ですので、不要な外部リンクの場合は、「リンクの解除」を試みてみましょう。
グレーアウト状態なら、外部リンクは無いことを表していますので問題ありません。
02:[ホーム]>[条件付き書式]
便利な条件付き書式も、時にサイズ肥大の要因をもたらします。
意図した通りの、「必要な条件付き書式だけ」なら良いですが、心当たりのない書式や、不要な書式は、確認のうえ削除しましょう。
たまに大量な数の条件付き書式をみかけますが、「使いすぎ」には注意しましょう。
03:[ホーム]>[セルのスタイル]
書式スタイルのことですね。Excelではカラーパレットをカスタマイズ出来ますが、外部ブックなどからのコピぺを繰り返すと増殖してゆきます。
「セルの書式が多すぎるため、書式を追加できません。」というメッセージが表示される場合は、これが原因ですので注意が必要です。
「スタイルの結合」により他のブックの標準の状態に戻すことが出来ます。
04:[数式]>[名前の管理]
特定データ範囲に名称を付与し相対的にデータ参照させる便利な機能です。
が、この例のように、”個人名”にくわえ “銀行名” まで分かってしまう場合があります。
純粋にPATHを表示するだけですが、固有名詞など使われているケースも少なくありません。
前任者からの引継ぎブックなどの場合、実は、お客様自身でさえ気づいていないケースがありますので、チェックが必要な項目の1つです。
05:[データ]>[接続]
CSVやテキストファイルをインポートで取り込んだ際に、その[接続情報]が記録されます。外部ファイルとして連携する場合を除き、不要な接続は削除が望ましいですよね。
取り込んだファイル名も忠実に表示されてしまうので、見られたくないファイルなど注意が必要です。
06:チェック点検_実装シート妥当性
ExcelシートTABの上で、右クリック>再表示
隠しシートについても点検が必要です。妥当性のないシート、不要なシートは、混乱や事故の要因となり、存在すべきではありませんので、削除してしまいましょう。
07:チェック点検_Excelブックのプロパティ
Excelブックを右クリック>プロパティ>詳細タブ
まさかの個人名…。Excelアプリケーションのユーザー名です。
第三者が使用していたブックを流用した場合、プロパティの「作成者」情報は変更しない限り保持されますので、「この人誰?」と指摘されないよう注意が必要です。
いかがでしたか。このように知らないと恐~いこともあるのです。
Excelシステム開発において、社内マクロ開発の場合は、大きな影響がない場合でも、受託開発となった場合、第三者の目に触れてはこまることがほとんどですので、十分な注意が必要です。
本コラムでは、「Excelシステム納品前ブック点検」というテーマで、重要な7項目についてご紹介させていただきましたが、続いては、「Excelシステム開発前ブック点検」と題し、隠されたシート、隠されたデータ行、データ列など、Object画像精査などもあわせて、ご紹介して参ります。